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【旅エッセイ】時代を思い興津を歩く
2025年4月16日
何も起こらない日常の幸福感
(↑前回の投稿つづき)
海での投石遊びにも飽きた頃、再び東海道線に乗車。
乗り鉄である息子。
目下の関心事は、海よりも石よりも列車に乗ることである。
時刻を見ると、昼食にはまだ随分と早い。
せっかくなので、数駅先の興津駅まで足を延ばしてみることにした。
乗車した車両は普通列車ながら、偶然にも豪華特急車両のクロスシートである。
主流となったロングシートよりも、旅情が感じられて良い。
そんな特急列車的な環境がそうさせたのだろうか。
近くの座席から、プシュッとプルトップを開ける音が車内に鳴り響いた。
ビールが好きな大人にとって、プルトップは神様なのだ。
流れる景色を、車窓からじっと眺める子ども。
私もまたその光景をぼんやりと眺め、放心しているうちに目的の駅へと着いた。(目的は無いけれど)
我々の他に下車した乗客は数人だ。
記憶にある限り、降車したのは始めてである。
今となってはとても静かな田舎駅。
かつてこの地は大物政治家たちの別荘地でもあり、西園寺公望の坐漁荘が有名である。
日本の政治がこの地で動いていた時代があったのかも知れない。
どういうわけか、近年はそんな郷土史にも興味が湧いてきた。
歳をとると歴史への興味が向いてくる、なんて聞いたことがあるが。。
“愚者は経験に学び、賢者は歴史から学ぶ“
(ビスマルク)
歳をとり経験を積み、少しは賢くなれたのだろうか。
はたまた、賢者への憧れだろうか。

そんな、とりとめも無い事をあれこれと思いつつ。
興津の町を海方面に向かって歩きだす私たち。
つづく。