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寝起きの疲労感と夜間低血糖 ー 今すぐできる改善方法と、根本解決に向けて

2025年10月17日

こんにちは、静岡市葵区七間町のHori Kodaiパーソナルトレーニングジムです。

夜は睡眠をとって休んだはずなのに、朝起きたら疲労感でいっぱい。
場合によっては「寝る前よりも疲れている」という方もいらっしゃいます。

睡眠をとってしっかりと休めたという実感を、「睡眠休養感」と呼びます。

睡眠休養感が十分に得られない場合の原因と、その改善方法について整理していきましょう。

目次

▪️寝ている間に血糖値が低下する夜間低血糖

睡眠中は食事を摂ることができないので、外部からエネルギー源を取り入れることができません。

この時私たちの身体は、体内に蓄えられた糖や脂質・タンパク質といったエネルギー源を活用して、生命維持に必要な血糖を維持することになります。

しかしながら、ホルモン分泌能力や自律神経系の問題を抱えていることで、空腹時に血糖値を上げることが難しい体質の方がいらっしゃいます。

すると睡眠中に血糖値が低下していく。これを夜間低血糖と呼びます。

▪️夜間低血糖で体内に起こること

生命を維持する為のエネルギーが維持できないということは、命に関わる問題です。

そこで私たちの身体はこの危機に対して交感神経を働かせて、アドレナリンやノルアドレナリンといったホルモンを分泌。

これらのホルモンが低下した血糖を上昇させるのと同時に、

・心拍数や血圧の上昇
・筋肉の収縮(身体の強張り)
・呼吸量の増大

といった、「眠っているのに身体は頑張っている」状態を作り出します。

これが「眠ったはずなのに疲れている」の正体であると考えられます。

アルコールを摂取してから寝た朝に感じる身体の怠さも、同様の反応が起った結果です。

▪️どんな対策がある?

眠る前に、血糖維持の手助けとなる補食や飲料を摂取しておくことで、即時的な変化を実感できることがあります。

・はちみつ
・MCTオイルを入れたスープ
・甘栗

などといった、血糖値を緩やかに上げつつ維持しやすい特徴のある食品が効果的です。

砂糖などの急激な血糖上昇が起こる食品は、その後血糖の乱高下を引き起こし逆効果となりますので避けておきたいですね。

▪️根本的な体質改善を行うためには?当ジムの考え方

対処療法的に補食は有効ですが、血糖値を適正値に維持する能力(糖代謝)を根本から改善する必要があります。

バランスに配慮した食事とストレスの管理。

糖の貯蔵庫としての、筋肉量の増加。

健康維持に必要な運動量を維持できる身体づくりとライフスタイルの形成。

糖代謝に滞りが起こる原因に対して、多面的な考察とアプローチが必要不可欠です。

「寝ても疲れが取れない」と感じたら、まずはお気軽にご相談ください。

 

<参考・出典>
・King P, Kong MF, Parkin H, Macdonald IA, Tattersall RB. Well-being, cerebral function, and physical fatigue after nocturnal hypoglycemia in IDDM. Diabetes Care. 1998 Mar;21(3):341-5.
 → 夜間低血糖を誘発した翌朝の主観的疲労感や身体のだるさ(ウェルビーイング)を評価した実験研究。

・Jauch-Chara K, et al. Sleep and the response to hypoglycaemia. [Review / 論説寄稿]. (2010).
 → 睡眠中および睡眠剥奪下での低血糖反応(カウンター調節系や覚醒反応など)を概説しており、睡眠が低血糖応答の制御に及ぼす影響を扱っている。

・Gardner D, Tan HC, Lim GH, et al. Relationship between CGM-derived nocturnal hypoglycemia and subjective sleep quality in people with type 1 diabetes. Scientific Reports. 2023;13:20887.
 → 連続血糖モニタリングデータと主観的な睡眠評価を組み合わせ、夜間低血糖がその夜の睡眠の質にどう関係するかを探索したパイロット研究。

・The Hypo-METRICS Study. Nocturnal hypoglycemia is associated with next day decreases in mood, alertness, and cognition. (2024)
 → 夜間低血糖の自己申告と、それに続く翌日の気分・覚醒度・認知機能低下との関連を報告した研究。

・Reutrakul S, Thakkinstian A, Anothaisintawee T, et al. Sleep characteristics in type 1 diabetes and associations with glycemic control: systematic review and meta-analysis. Sleep Medicine. 2016;23:26-45.
 → 1型糖尿病の患者における睡眠特性(睡眠時間、断続覚醒、質など)と血糖制御(HbA1c、血糖変動など)との関連をメタ解析的に整理。睡眠と糖代謝の双方向性を理解するうえで有用。